【彫刻が見どころ♡】日光東照宮「東西回廊(陽明門の袖塀)【国宝】

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日光東照宮「東西回廊」【国宝】

創建年(作られた年)

  • 1636年(寛永12年)
建築様式(造り)

  • 入母屋造
  • 総・漆塗り
その他・付属

  • 燭台(オランダ製):12基
  • 蟇股(かえるまた):30個
屋根の造り

  • 銅瓦葺(東回廊附属の御供所および同廊を含む)
延長(長さ)

  • 東回廊:54間:約132m/梁間1間
  • 西回廊:36間:約88m/梁間1間
重要文化財指定年月日

  • 1908年(明治41)8月1日
国宝指定年月日

  • 1951年(昭和26年)6月9日

日光東照宮の「東西回廊」とは?

陽明門の左右には比翼型に広がる回廊がありますが、これが「東西回廊」でゴンす。

その奥に控える本殿を護るかのようにして本殿を包み覆う形で建てられてい‥‥‥申す。ゴヘっ

もちろん陽明門の附属として国宝指定ならびに世界文化遺産指定を受けてい‥‥‥申す。グハっ




日光東照宮「東西回廊」の特徴や建築様式(造り)

1枚板に彫られた彫刻

陽明門の左右両脇に連接されるこの東西回廊の大きな特徴としては彫刻で埋め尽くされていることがまず挙げられまする〜。

胴羽目板には「花鳥」「動物」が彫られ、腰羽目板には「水鳥」、「打ち寄せる波」‥‥‥etc

欄間(らんま/軒下(屋根の下)長押しの上部)には「空に浮かぶ雲」‥‥‥などの図様を透き彫りにて 「1枚板」にハメ込まれてい‥‥‥申す。ディャハっ

⬆️西回廊

大きさマチマチですが、最大で横幅:約2m、縦幅:約1mもの透かし彫りが1枚の板に彫られています。

⬆️東回廊

これらはよく見ると「天と地と水」を表現したものが彫られているのが分かります。

透かし彫りの技法

透かし彫りの技法とは絵図面(下絵)をもとに下絵どおりにくり抜いていく彫り方です。

特に東照宮の透かし彫りは一枚の板が用いられていますので失敗ができない。下手をうてば最初からやり直しということも‥‥。

つまり、並みの職人の腕では完成は遠のくという、まさに究極の職人技ともいえます。

蟇股にも200を超える彫刻がある!

この東西回廊には蟇股(かえるまた)にも彫刻が施されているのですが、奥宮の出入口に据えられた「眠り猫」の蟇股をふくめ、ほかにも動物、花/鳥、果物、霊獣など267体あります。

なお、東照宮の社伝によれば、家光公の御発意による寛永13年の寛永の大造替の際には、もっと彫刻の数が多かったとのこと。

花鳥の大彫刻は日本最大級!

東西回廊の南側の壁面には花鳥の大彫刻25枚が据えられており、これもすべて1枚板の透かし彫りが用いられていまする。

大彫刻とされる理由は、この南面のパネルが一際サイズが大きく、大きいもので「横2.3m、縦1m」という日本最大級と云われるが所以です。

すべて一枚板の透かし彫りには、極彩色が施されてい‥‥‥申す。ギャヘっ

東西回廊の牡丹の彫刻には平和のメッセージが秘められているとも‥‥‥

日光東照宮境内には、この東西回廊以外にも数ある彫刻がありますが、中でも最多とも呼べるべき数を誇るのが「牡丹(ぼたん)の彫刻」です。

牡丹は古来、平和のシンボルとも云われますが、だとすればこの東西回廊もそのような切なる思いが込められて、据え付けられたともいえます。

陽明門を挟んで長さが異なる!

この東西回廊は陽明門を挟んで東と西とで長さが異なり、東側に16間、西側に9間の透かし彫りで彫刻されたパネルがはめ込まれていまする。(合計25枚)

⬆️上から見れば陽明門を境目として左右で長さが異なるのがよく分かる

東西回廊は繋がらない!「コの字型」をしている!

下掲写真をご覧になれば分かるように、この回廊は途中から屈折し、本殿後方の石垣の手前で途切れています。

つまり、「コの字型」に御本殿を取り囲む形で造営されていることになりまする。

造営当初は現在のような「コの字」ではなく、「ロの字型」の回廊だったようです。ところが、1646年(正保3年)に起こった地震によって石垣が崩落しそうになり、新たな石垣を造成するべく、現在一部が取り除かれています。

このため、現在の東西回廊は北側部分が撤去され「コの字型」になっていまする。

本殿を中心とした二重の御垣

東照宮の伽藍配置‥‥ではなく神域配置は本殿を中心に据え、透塀(すきべい)と回廊の2つを用いて環を創造し、神域を構成しています。

これに陽明門、唐門と、その内側に出来た空間(中庭)に小建造物群を配しています。

通例の神社や寺院は1重なのに対し、御垣や回廊を2重でめぐらし、本殿を取り囲んでいますが、このように荘厳な空間(中庭)を創出する意匠は太閤秀吉の豊国廟(ほうこくびょう)の頃より見られる意匠です。

撤去された北側部分の謎の彫刻

東照宮の社伝によれば、北側部分の回廊は御本殿の真後ろということで、特別視された計らいにより、家康公の干支である虎の彫刻などがハメ込まれていた可能性もある多いにあるとのことです。

創建当初は本殿を歩いて一周できる仕様になっていた

現在は北回廊はありんせんが、創建当初は上記のように家康公の干支である虎の彫刻はじめ、その他諸々の羽目板の彫刻、そして何より煌びやかな本殿をグルっと一周しながら観賞できる仕様になっていたようです。

東西廻廊の大彫刻はなぜに人々を魅了して止まない?その理由とは?

東西廻廊は次のような3つの要素が複雑に絡み合い、世に2つとない絢爛豪華な意匠作品と呼べるまでの代物になってい‥‥‥申す。クポっ  …ん?モーグリ?

  • 特に花鳥動物を描いた下絵師のデザイン(下絵)が見事
  • 息を飲む、大工たちが見せる職人技「透かし彫りの技巧」
  • 色あざやかな塗装職人の職人技

忘れてはいけない東西回廊の見どころ

眠り猫

東廻廊潜門の蟇股には「眠り猫」の彫刻が据えられていまする。

この蟇股は屋根を支える構造材というよりは、装飾を重視した蟇股です。

この眠り猫の蟇股には、あるメッセージが隠されています。詳細は下記ページにて。グハっ

御供廊下

画像引用先:日光東照宮の有料冊子

総朱漆塗りの東回廊は「御本殿の石の間」に連接しており、距離にして約20mほどあります。

神職の方々はこの廊下を通って本殿の御神前へお供え物を供進(お供えする)することから「御供廊下」とも呼ばれています。

(一般の方はご祈祷を受けるなどしないかぎりは立ち入り不可)

御供廊下(回廊内部)の彫刻

西回廊の「犀(さい)」

東回廊の「鸞(らん)」

※画像は日光東照宮の有料冊子より




陽明門・袖塀の「オランダ製の燭台」

⬆️下部に注目!洋式の燭台が何故かゼカぜかコノヤローなほどに取り付けられている …どんな度合いや

回廊(袖塀)の透かし彫りのパネルの下部をよく見ると、洋式の燭台(しょくだい/ろうそくを立てるための台)が、据え付けられているのに気付きます。

和様or唐風のレリーフ装飾が施された壁面に対し、洋風の燭台を据え付けるという発想がなんとも滑稽かつ、奇抜さの度を超えているのですが、なぜか不思議とよく溶け込んでいる。

これも東照宮が秘める魔力と呼べるものなのか。オホ

ちなみにこの燭台、なんでもオランダ製とか。

オランダの燭台が据えられている理由

江戸時代後期、東インド会社(オランダ)が日本と貿易を円滑に行うために、幾度となく、時の将軍(幕府)へ贈り物を携えて来朝していまする。

幕府も貿易を行うことで収益が得られたことや、日本を諸外国から護る手立ての1つと考え、当時の日本の最高権力者の霊廟へオランダ国よりの手土産を据え置くことでオランダへの快良き返事をしたつもりなのでしょう。

それだけでなく、この燭台、当時のオランダでも簡単に入手できない、かなり価値のあるものだったようです。

なお、東照宮境内にはオランダ国から贈られた回転灯籠なども置かれていたりと、随所に洋式の意匠もみえます。

往時の幕末の有り様が垣間見える貴重な箇所でもありまする。

袖塀の彫刻一覧

袖塀の各々2面ずつに以下のような欄間彫刻が据えられていまする。

東回廊「欄間彫刻」

東側「鷽・牡丹・唐松」

東側「錦鶏・長春(薔薇)・唐松・雲)」

西側「孔雀・牡丹・大和松」

西側「錦鶏・牡丹・大和松」

東回廊・北側「唐獅子」の彫刻

西面

東面

西側袖塀「えぶり板」にあしらわれた「獏」の彫刻

獏は夢を食べる霊獣だとされますが、東照宮においての獏は少し解釈が異なりまする。

中国唐の詩人「白楽天(はくらくてん)」が著した「白氏文集(はくしのもんじゅう)」によれば、獏はエサとして夢ではなく、鉄や銅といった金属を食べるとされる。

戦争が勃発すると鉄や銅が兵器に使用され、獏のエサがなくなってしまぅ。これすなわち、恒久平和の祈りを込めて獏が御本殿に据えられているのだと考えられています。

象と獏の違い

獏と象はいずれも鼻が長いので、一見すると外観がクリソツなので見間違います。‥‥というより見分けがつきませぬ。

そこで獏と象を見分ける方法を伝授しておきましょう。

  • 獏はトゲのような眉をもつ
  • 獏は目が丸い
  • 獏には首に巻き毛がある

⬆️表門の獏

⬆️上神庫の想像の象

  • 象の方は耳が垂れ下がっている

背面(北側)の欄間彫刻

西側・右「錦・大和松・唐松・雲」

西側・左「錦鶏(メス)・雛2羽・牡丹・大和松」

東側・右「雉2羽・唐松」

東側・左「錦鶏・長春(バラ)・大和松・笹」




背面・胴羽目の「唐獅子」

背面・西側

背面・東側

雉(きじ)

雉の特徴

  • 雉は愛情深い鳥
  • 和歌に多く詠まれている
  • 画題としても広く用いられる

雉のオスの特徴 ….押忍っ!

  • 頭部に耳羽(耳状の冠毛)を有する
  • 顔は無毛で赤色
  • 胸は光沢のある暗緑色
  • 首と背が青色
  • 翼は複雑な色を醸す
  • 尾は程よく長ぃ

雉のメスの特徴 …メ‥‥忍?

  • 全身が赤褐色、程よく尾は短ぃ

メスを見分けるのは困難だが、オスが隣にいると判断が成り立つ。

東西袖塀の彫刻の数

欄間

北面東側左(錦鶏、長春、大和松、笹)合計8

胴羽目

獅子(南北の各東西に各2)合計8

蹴り込み小羽目

波(南北の各東西に各2)合計8

地紋が6本

えぶり板

篠丸の内(獏・雲)合計8


合計32体+地紋6本

東西回廊を作った人は誰?彫刻の下絵(デザイン)を担当したのは‥‥

これらの下絵(デザイン)は「狩野理右衛門」が担当し、彫ったのは別の者であると云われます。(左甚五郎や和泉忠兵衛義孝、その他大勢の大工とも)

東西回廊は国宝指定を受ける建造物である!

この東西回廊(陽明門・袖塀)は、国宝の陽明門の一部として、1951年(昭和26年)6月9日に国宝指定を受けています。

東西回廊の場所(地図)

東西回廊は陽明門を向かい見て左右に延びる回廊でゴンす。

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