本宮神社とはかつての日光二荒山神社の本宮であり、現今に至っては別宮(べつぐう/わけのみや)になりますが面白いのが当神社の境内の趣向。
まるで遊園地のアトラクションのように参拝客を楽しませるような工夫が凝らされているのでご紹介しておきましょう!
なお、当神社境内にある本宮カフェは2022年より公開予定の「日光物語」という映画の舞台にもなるとのこと。年内に来訪すれば、ひょっとすると撮影現場に居合すことができるかも。
日光二荒山神社・別宮「本宮神社」【旧・二荒山神社 本宮】
創建年
- 790年(延暦9年)※奈良時代
※現在の二荒山神社の本殿(本宮)の創建は808年(大同3年)
再建年
- 1684年(貞享元年)※江戸時代
- 平成25年6月1日〜2020年10月5日
建築様式
- 入母屋造
- 三間社流造
屋根の造り
- 銅瓦葺
塗装
- ベンガラ塗(前方向拝のみ極彩色)
大きさ
- 拝殿:約6メートル
- 本殿:約6メートル
御祭神
- 味耜高彦根命
ご利益
- 開運・生産・交通安全
例祭
- 4月17日(弥生祭)
項・一覧
本宮神社の歴史
766年(神護景雲元年)、勝道上人は男体山を目指し、この旧本宮神社の前を流れる大谷川の前で立ち止まってしまいますが、このとき深沙大将が突如、目の前に現れ、2匹の大蛇を放って橋を造ります。
この橋は後に「山菅の蛇橋」と呼ばれ、現在の神橋の前身の橋にあたるものなのですが、この橋を渡ることによって現在の本宮神社(四本龍寺)の場所までたどり着くことに成功しています。
この後、勝道上人はこの本宮神社の場所に草庵を結び、修行に明け暮れる日々を送ることになるですが、この草庵こそが現在の二荒山神社の起源とされています。
790年(延暦9年)になると、草庵付近に小さな祠を築き、男体山の神を祀るのですが、この祠こそが今日に見られる日光二荒山神社の始まりであり、起源とされています。
それゆえ、現今に至るまでこの地は「日光の原点」とされています。
平成の保存修理
本宮神社では外部の塗装の剥落が顕著だったのと、一部の部材に腐朽化が見られたため、平成25年6月1日〜2020年10月5日に保存修理が行われています。
これにより、現在は真新しい姿にイメチェンされています。
四本龍寺とは?
四本龍寺とは、勝道上人が男体山の神を遥拝していたある日のこと、4本の紫の煙が東の空に消え失せるのを見かけ、東へ向かったところ、煙が紫雲石へ消えるを見て、これに男体山の神の霊験を見出します。
その後、紫雲石の場所に寺を建て、紫雲龍寺と名付けます。
星霜経て、紫雲龍寺を「四本龍寺」へと改称していますが、四本龍寺は輪王寺へと名前が変わり、現在、四本龍寺の遺構として観音堂と三重塔がこの本宮神社の北側の地に残されています。
なお、現在のこの四本龍寺の遺構2棟は輪王寺の所管になります。
二荒山神社の本宮(本社)が現在地に移築された理由
現在の日光二荒山神社の本宮(本社)は、この本宮神社の西方約1キロの場所に建っていますが、これは洪水により氾濫が多かった大谷川からの水害避けのために現在の場所へ移築されたからです。
平安期以降、現今の旧本宮に対比する形で「新宮(現在の二荒山神社の本社)」とも呼ばれています。
以来、日光二荒山神社の本宮、すなわち本殿は男体山(なんたいさん)の神である「大己貴命」を祀り、本宮神社では太郎山の神である「味耜高彦根命」、この本宮神社の少し山奥に位置する滝尾神社においては女峰山の神である「田心姫命」を祀っています。
日光山縁起に登場する神々一覧 | ||||
日光三山 | 日光三社権現 | 日光三所権現 | 日光三所権現本地仏(三仏) | 日光三神 |
女峰山 | 滝尾権現 | 女体権現 | 阿弥陀如来 | 田心姫命 |
二荒山(男体山) | 新宮権現 | 男体権現 | 千手観音 | 大巳貴命 |
太郎山 | 本宮権現(太郎権現) | 太郎大明神 | 馬頭観音 | 味耜高彦根命 |
※滝尾権現、新宮権現、本宮権現は、明治初年の神仏分離により、滝尾神社、日光二荒山神社、本宮神社へと置き換えられています。
関連記事:日光二荒山神社・本殿・拝殿【重要文化財】
滝尾神社とは?
なお、滝尾神社(たきのおじんじゃ)に関しては、この本宮神社の境内地を出た辺りから滝尾神社への入口となる参拝道として親しまれています。
これら3つの山の神は総じて「日光三社権現」とも呼ばれ、現今に至るまで多大な崇敬が寄せられてきた歴史をもちます。
1684年(貞享元年/江戸時代)には大火事の類焼により灰燼に帰し、翌年には再建されています。
ちなみに滝尾神社の本殿と、この本宮神社の本殿とは規模(大きさ)は異なるものの、建築様式などは同じです。
本宮神社の特徴
前述のように滝尾神社やこの本宮神社の大きな特徴として、社殿の手前だけではなく、社殿の背面にも観音開きの扉(後戸)が設けられています。
しかしながらこの扉は後方から入ることはできず、見せかけの扉とされています。
一説には、往時はこの扉を開いて男体山(なんたいさん)を拝んだとされおり、だとすれば、霊峰を遥拝する信仰が存在したことを物語るものであります。
ちなみにこのような観音開きの後扉は滝尾神社にも取り付けられていますが、滝尾神社の後扉は現在、調査中とのこと。
山岳信仰で発展した日光の社殿の大きなとも言える。
本宮神社の境内案内図
本宮神社の境内には以下のような建造物があります。
- 本殿
- 拝殿
- 本宮カフェ
本宮神社(旧・二荒山神社 本宮)境内の魅力と楽しみ方
拝殿
- 建築様式:入母屋造
- 大きさ:四辺:約6m
- 屋根の造り:銅瓦葺き
拝殿はよく神社で見られるような本殿のすぐ前にあるのではなく、本殿と距離が5mほど離れていることから、一見すると拝殿には見えず、単立したお堂もしくは社殿のように見えます。
その上、名前も書いていないので拝殿だと分かりませんが、この建造物は本宮神社の拝殿になります。
開運石
開運祈願木で開運石を軽く3回たたいて定位置より、祈念を込めて以下のように移動させることで所定のご利益を授かることができるとされる。
- 右に移動→金運UP!幸運UP!
- 左に移動→健康UP!良縁UP!
雷神風神の魔除け木札?
本宮神社の本殿前の木扉の左右の柱には「風神」「雷神」の木札が飾り立てられています。
風神、雷神は門を浅草寺の風神雷神門を代表的に、門を守護する神様として広く認知されています。
極彩色の本殿
本殿をよく見れば輪王寺の他の堂舎同様に赤を基調として極彩色で彩られ、諸所に飾り金具が据えられているのが見えます。
四本龍寺と合わせて境内は東照宮や二荒山神社、輪王寺があるエリアとは対照的に人っ子1人おらずヒッソリと静まりかえっていますが、それでも社殿は絢爛豪華さを損なわず、二荒山神社の旧本宮の威容感を周囲に打ち放っています。
こぶ杉
境内にの端には「こぶ杉」と呼称する根っこ部分から約50㎝ほどの場所にボコっとコブが飛び出た杉があります。
二荒山神社の社伝によれば、なんでもこのコブを撫でることで喜びが廻ってくると言われ、開運のご利益があるとされているようです。
このため、この杉は単なる「こぶ杉」ではなく、「喜ぶ杉(喜コブ杉)」とも呼ばれるようです。
笈掛け石
日光開山の祖「勝道上人」が「笈(おい)」を掛けて参拝したと伝えられる石コロころドコいった・・です。
「笈」とは、修験者(しゅげんじゃ)や行脚僧(あんぎゃそう)が背負う木箱のことです。箱の中には主に仏具・衣類・食器などが収納されました。
なお、「笈」は「老い」と発音が同じであり、通じ合うものがあるとされることから老いを掛けて若返ると伝承され、この石が別名で「若返りの石」と呼ばれている理由になります。
注意点
『この石の上に座ったり乗らないでください』と看板に書かれていますので、くれぐれもご留意のほどを。
開運 望み石
勝道上人は15年もの歳月をかけて、現在のこの場所(本宮の地)より二荒山(男体山)の頂上へ登り、世の為人のために一生を捧げたと伝えられています。
その勝道上人のご利益にあやかり、平和を願って石を1つだけ積んで参拝すると運が開けるご利益が得られるとのことです。
運試しの玉入れ
境内の隅には「運試したま入れ」というちょっとした占いじみたアトラクションのようなものも置かれています。大きな石コロの上に籠(かご)が置かれており、この籠の中には玉(ボール)が入っています。
この玉を3つ手持って籠から2メートルくらい離れてカゴめがけて投げ入れます。
3つ(3回)投げて、玉が何個カゴに入ったかで以下のような運勢占いができます。
- 3つのうち1つ入った場合:運気は普通
- 3つのうち2つ入った場合:運気は良好
- 3つのうち3つ入った場合:運気は最高
- 1つも入らなかった場合:運気を警戒!
※注意※
占いの結果が悪くても良くても必ずボールをカゴに戻してください。
開運笹
本宮神社の本殿の南西の端には「神竹」と呼称される「開運笹」が生えています。なんでもこの笹に触れると運が開けて、魔除けのご利益が得られると伝えられているようです。ウフ
開運の石鳥居
この鳥居が開運の鳥居と呼ばれる理由は、なんでも左足から鳥居に入り、そのままくぐって、その先にある上記、「笈掛け石(おいかけいし)」に触れると運が開けるとのことです。
なんと!本宮神社の境内にカフェがあった!!
本宮神社が建つ場所は人数が少ないヒッソリと静まり返った場所ですが、なんと!この杜(森林)の中にログハウス風のカフェがある言えば驚かれますでしょうか。
このカフェの名前を本宮神社にちなんで「本宮カフェ」と称します。
ログハウス風に造られていることから、木材が持つ独特の特徴である温かみがにじみ出ていて、ホッコリと気持ちを落ち着かせることができる店内です。
本宮カフェのメニュー一覧
- ぜんざい:650円
- 抹茶プリン:550円
- よもぎだんご:500円
- クリームあんみつと抹茶のセット:1200円
- サンドウィッチ:900円
- エスプレッソ:450円
- カフェラテ:600円
- ダージリンティー:600円
- エスプレッソ アフォガード:700円
- その他、季節限定メニュー
オススメはエスプレッソコーヒーです。
まさかこんな山奥のヒッソリそりそりヒゲそり深ぞり痛ぃ‥‥てなほど、ヒッソリとしたカフェで、おいしいエスプレッソが飲めるとは思いもしませんでした。
本宮カフェでは御朱印ももらえる!
この本宮カフェではなんと!御朱印と絵馬を授与されています。ただし!御朱印は二荒山神社の神職さんがすで書いた買い置きタイプのものになり申す。
- 本宮神社の御朱印の値段:500円
同じ境内とも言える四本龍寺への参拝もお忘れなきよぅ!
この本宮神社の約200メートルほど真上には、輪王寺に属する「四本龍寺(しほんりゅうじ)」というお寺があります。
一見するとこの様相はまるで1つの境内に神社と寺院が並存しているかのように見られ、勝道上人が創建した頃の神仏習合時代の名残りが垣間見える場所でゴザる。
四本龍寺のもっともな見どころとなるのが、三重塔(重要文化財)です。
四本龍寺の詳細については下記ページにてご紹介してい‥‥申す。ガハっ
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