日光二荒山神社・銅鳥居【重要文化財】
造営年
- 1769年(明和6年/江戸時代後期)
再建年
- 1799年(寛政11年/江戸時代後期)
鳥居の型
- 明神鳥居
材質
- 銅製
重要文化財指定年月日
- 1944年(昭和19年)9月5日
日光二荒山神社・銅鳥居の歴史・由来
東照宮から上神道(上新道)を抜けて二荒山神社の楼門をくぐると、やや古めかしい「鳥居」が参詣者を待ち受けています。
この鳥居こそが日光二荒山神社のシンボルともなる銅鳥居であり、1944年(昭和19年)9月5日に国の重要文化財に指定されているほどの鳥居です。
名前のとおり銅製の鳥居であり、当初は1769年に造営されましたが、30年経た1799年に再建されています。
鳥居の柱には「寛政十一年」の刻銘(こくめい)が彫り込まれています。
中央には「二荒山神社」と大きく書かれた「扁額(へんがく)」が据えられています。
日光二荒山神社の銅鳥居の謎・その1「蓮の花弁の彫刻」
特徴的なのは双方の柱の足元に刻まれた「蓮の花弁の彫刻」です。
蓮の花弁の彫刻が施された鳥居は他にもあり、東照宮の陽明門の前にある鳥居がこれに該当します。
「蓮」と言えば仏様が乗る「蓮華座(れんげざ)」がまずイメージされます。
神社の鳥居に仏教様式の「蓮の花弁」と言うのも少々違和感を覚えますが、日光山自体が神仏が習合した壮大な伽藍(がらん/=境内)とも言えますので、伽藍の中の建造物にもその影響が色濃く反映されていると言えます。
日光二荒山神社の銅鳥居の謎・その2「巴紋(三つ巴/みつどもえ)」
東照宮の鳥居についているのは、徳川家の家紋「三つ葉葵」ですが、二荒山神社の銅鳥居についているのは「巴紋(ともえもん三つ巴/みつどもえ)」です。
巴は弓を射る時に手首に付ける革製の弓具「鞆(とも)」を図案化したものだと言われています。
祭祀や装飾品に使われてきた勾玉に形が似ていることから、神紋に採用した神社も多いということで、日本中の神社でもっとも多い「神紋(しんもん=神社の家紋)」となっています。
日光二荒山神社の銅鳥居の刻銘を見てみよぅかなぁ‥‥‥
『寛政十一年(1799年) 巳 未(ひつじ) 年 九月』
『大工棟梁 荒川武助 岡本荘九郎 丹治専左衛門』『鋳物師(鋳造者) 西村和泉』
「西村和泉」とは?
「西村和泉」とは、元禄(江戸中期)から明治期までの12代に及ぶ、江戸界隈ではちょぃとナメェの(訳:名前)の知られとぅぁ、鋳物師の一家系の冠名のようなもんでグゥぉンすよぉ。うェっヘ
神田鍛冶町(現在は三丁目のみが現存。他は千代田区に割譲)に居処し、江戸界隈の社寺の梵鐘や灯籠などの鋳造に数多く関わっている家柄です。
この日光二荒山神社の銅鳥居も「西村和泉」が制作に携わっていますが、系譜を追っていくと、どうやら5代目の「西村政平」および6代目「西村政寿」の名前が挙がってくることから、ご両人が制作に関わったものと推定できまする。(但し、政平は寛政10年に他界されている)
日光二荒山神社の「鳥居の種類と形状」
明神鳥居
鳥居はどれも同じだと思っていませんか?
寺社の建築様式や屋根の形にも種類があるように、実は鳥居にも形によっていくつかの種類に分類されています。
二荒山神社の銅鳥居は「明神鳥居(みょうじんとりい)」と呼称し、神社の鳥居としては最もポピュラーな鳥居の型の1つです。
明神鳥居の大きな特徴となるのが「笠木(かさぎ)」と呼称される鳥居の屋根の部分の両端が反り上がっており、鳥居の中央の横木である「貫(ぬき)」は両端の柱を突き抜けています。
また、両2本の柱はやや中心に傾いたような形になっています。
二荒山神社の境内には他にも明神鳥居が存在し、入口の鳥居、朋友神社の鳥居、二荒霊泉の前の鳥居と、いずれの鳥居も明神鳥居です。
神明鳥居
明神鳥居の他に神宮(伊勢)を代表とした鳥居に「神明鳥居(しんめいとりい)」と言う鳥居があります。
一見すると同じ鳥居に見えますが細部が異なっています。
全体的に直線的なフォルムの形状をした鳥居で、貫が柱の両端を貫通しておらず、「神社の地図記号」のような形状をしています。
そして二荒山神社境内の「日光連山遙拝所前の鳥居」こそが上記の神明鳥居になります。
その他に、明神鳥居と神明鳥居を応用させた鳥居もいくつか存在します。
建物の屋根や窓、装飾だけでなく、「鳥居の反りの有無」や「貫の突き抜けの有無」などに目を配ることで神社での参拝がもう少し違ったものになるかもしれません。
日光二荒山神社・銅鳥居の場所(地図)
日光二荒山神社の銅鳥居は拝殿の右脇、上神道(上新道)の楼門をクグった先に位置します。
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