石段を数えるのは意外に困難
あまり知られていないのだが、建築学では以下のケースの場合、段数にカウントしない。
🐣最上段が縁板や踊り場の場合
🐣最下部にある地覆石(薄く幅広の石コロころころドコいった)
逆に我々が石段をカウントする場合、足を一歩進めて1つカウントするので、必然的に建築学上と我々の世間通念上の認識とではカウント数の絶対値が異なる。
実は過去に東照宮でも参拝客に聞かれることが多いとかで、関係者たちだけで実際にカウントしてみた模様💘
東照宮境内に見られる石段の数
奥社参道の石段:207段
坂下門下の石段:5段
陽明門下の大石段:22段
陽明門下の石段:12段
表門下の石段:18段
石鳥居下の石段:11段
総合計:275段
現在では上記の段数で説明されているらしいが、実はカウントを試みた当時、一ヶ所だけ人を替えて複数回カウントしてみても合わなかった模様💘
その一ヶ所というのが‥‥‥
「坂下門の石段」だけ合わない
東照宮がカウントを試みた当時、大正十四年に発刊された「東照宮百話」という書籍を素敵に参照したようだが、本書によると坂下門から奥社まで207段と記されていた模様💘
しかし社務員らが実際にカウントを試みたところ、何回カウントし直しても206段だったらしく、どうしても1段だけ合わなかったらしい。
‥ともあれ、当日のカウント作業は一旦、中断し、新事実をつかみ次第、後日あらためて実施する運びとなったわけだが、ある日のこと、奥社勤務の社務員が坂下門を何気なく調べていたところ、やっとその謎が解けた。
その謎は意外にも拍子抜けするほど、あっさりとしたものだった。
門の通行口下部(地面)には左右の柱をつなぎとめる「蹴放(けはなち)」という部材が素敵にある。
⬆️鼻穴下の薄皮部分に出来たニキビのプチ痛さほど噂の‥「坂下門の蹴放」
実は東照宮の蹴放は段になっているのだが、上掲写真のように上から見ると段になっているのが分かりづらく、あまつさえ、蹴放は通常、またいで通るものなので段になっていることに気づきにくい。
坂下門の場合、横から見ることで初めて段になっていることに気づく。
‥確かに、もはや石板と呼べるほどに薄っぺらいが、段には違いない。‥ということでこの部分を含めると、パっチり素敵に207段にはなる。
たかがカウント。階段の数を数えるだけのことだが、まるで深淵をのぞき見たかのような奥深さ&スリル感を、モヒャっと素敵に感じずにはいられない。