日光東照宮・祈祷殿(上社務所)【重要文化財】【世界文化遺産】
造営年:1635年(寛永12年)
大きさ:桁行3間、梁間3間
建築様式(造り):入母屋造り、銅瓦葺き、1間の向拝付き、背面にも向拝付き
建造物指定区分:国指定重要文化財、世界文化遺産
祈祷殿(上社務所)の歴史(由来)
創建は江戸時代
日光東照宮の祈祷殿は陽明門をくぐりぬけた先にある建物です。外観的には神楽殿とよく似ていることから、「祈祷殿」と書かれた表札がなければ見間違います。
祈祷殿の創建は1635年(寛永12年)の徳川家光公の御発意による寛永の大造替の時。
しかしながら、当初から祈祷殿として建立されたのではなく、江戸時代を通じてお隣・輪王寺の住職である「日光門主(輪王寺宮)」が天下泰平を祈願する護摩堂でした。
護摩堂の内部に安置されていた仏像
明治初頭に神仏分離令までは、護摩堂の内部に以下の仏像が安置されてい‥‥‥申した。ゴフっ
- 不動明王
- 降三世明王(ごうざんぜみょうおう)
- 軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)
- 大威徳明王(だいいとくみょうおう)
- 金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)※通例では台密の場合、烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)が代わりに据えられる。
これらの仏像は5体合わせて「五大明王」と呼ばれまする。
明治時代に移設を命じられた
明治初頭、明治新政府により発令された神仏分離令の折、神社である東照宮に対して、護摩堂という仏式要素が濃かったため、すみかな移築を命じられています。
しかしながら、この時、社務所として使用する旨を政府へ上申し、これが認められ、以後は社務所として利用されることになりまする。
護摩堂から社務所に改められた後、内部に安置されていた上記、五大明王の尊像はというと、中禅寺湖畔に建つ「中禅寺(日光山輪王寺・別院)」の五大堂内部に移される形で安置されてい‥‥‥申す。グハっ
明治時代以降
明治時代に社務所として改められたのは、良いのですが実は社務所がもうすでに1つあったため、この社務所は境内の上方にある社務所ということで、「上社務所」と命名され、もともとあった社務所を「下社務所」と名前を改めています。
祈祷殿(上社務所)の建築様式(造り)
祈祷殿(上社務所)は神楽殿や神輿舎と比較すると若干、全体的に唐様(禅宗様)が強めになっているのが感じられまする。
建物は全体的に黒漆塗りと金塗りを基調とした重厚さを醸し、中備えは詰組を用いながらも間に蟇股を挿し入れるなど和様の一面も醸す。
組物は禅宗様の尾垂木1本付きの二手先斗栱を用い、屋根は入母屋造り、平入り、正面の向拝(ごはい)は流麗な彩色が施された1間の「流れ向拝」。
向拝正面には頭貫・木鼻がなく、柱上に連三斗(つれみつど)を用いている。
戸扉は唐風の黒漆塗りが施された桟唐戸(さんからど)。
柱の間を頭貫・虹梁を通し、向拝柱に対して海老虹梁などの横架材を用いない。
角柱上部には金襴巻を施す。
祈祷殿の彫刻に注目!
祈祷殿の彫刻には鳥類が多い!
祈祷殿の彫刻はまぁ〜鳥が多い。
組物間の彫刻はすべて鳥類。この鳥は「吐綬鶏(とじゅけい)」とも呼ばれ、耳があるという珍っしぅぃ鳥!なんでも親鳥が育てた小鳥は、親鳥が年をとると、逆にエサを運んでくることから、親孝行の鳥と称されるとか。
琵琶板の正面北側には鳥(鳩に見える)が2羽に栗の図様が採り入れられている。
欄間中央に蟇股が据えられ、その左右に「鯉」、欄間に波の彫刻が見える。
貫や台輪、丸桁(がぎょう/角の組物上部の部材)には牡丹唐草文様地、七宝花菱文、唐獅子紋が見える。
内法長押(うちのりなげし)には唐花菱文様と、その上部に菊唐草の透かし彫りが見える。
流麗な技を見せる斗栱(ときょう)の斗繰(とぐり)には極彩色の胡桃文。枠肘木には条帯文が見えまする。
向拝
向拝軒下の木鼻に見える彫刻は狛犬や獅子ではなく、これは「獏」。
向拝軒下の手挟みには波に蓮花模様の籠彫りが見える。繊細かつ華麗な職人技が光る部分。
虹梁には、紗綾形文様、唐花錦紋がほどこされている。
妻
入母屋造りの妻飾りには唯一ともいえる麒麟の彫刻が見える
南東角の妻側に赤白の牡丹の彫刻
この牡丹の図様もおそらく唯一の箇所。平和の象徴たる牡丹が凛然と実に華麗に描かれている。
神楽殿・神輿舎・上社務所(祈祷殿)の大きさは同じ!
陽明門の内側に位置するこの上社務所(祈祷殿)の手前の空間は言わば中庭になっており、この中庭には神楽殿と同じ形状をした神輿舎、神楽殿が並存していますが、実はこれらの建造物は三間四方という同じ大きさで建てらています。
これは中庭の景観というか、見栄えを意識して映えあるものとするための視覚的工夫が凝らされたと見れます。
この3棟の建造物を比較して見ると、神楽殿は和様主体で建てられ、上社務所(祈祷殿)がその逆で唐様(禅宗様)、神輿舎はその間を採る形で和様と唐様をうまくミックスくすクスふぁ〜コチョば‥‥させた折衷様(せっちゅうよう)が見えます。
こホンっ!
‥‥‥え〜、まぁ、以上のように視覚的な見栄えを映えあるものとするために配置と外観にコダわり抜いた卓越した表現技法が窺えまする。
祈祷殿の役割
冒頭でも述べたように江戸時代は護摩堂でしたので、護摩祈祷などが執り行われていました。
現在は護摩祈祷ではなく、神道式の多種にも及ぶご祈祷が執り行われてい‥‥‥申す。クポっ…..モーグリ?
- 家内安全、厄払い、交通安全、商売繁盛
- そのほか、初宮詣、七五三詣、神前結婚式
‥‥‥etc
祈祷殿では「お祓い(ご祈祷)」が申し込める!
日光東照宮には、地元の栃木ゴールデンブレーブスや、H.C.栃木日光アイスバックスなどの有名スポーツクラブの選手たちが戦勝祈願にご祈祷に訪れまする。
東照宮特別祈祷
諸願:「商売繁昌」、「交通安全」「家内安全」、「厄除開運」など
ご祈祷の申し込み方法
申し込みは表門前祈祷受付所にお申し込み下さい。
特別祈祷の料金(初穂料)
一件:5,000円以上
お下がり(いただける授与品):神札、御神酒、御供物など
ご祈祷についてのお問合せ
- Tel:0288-54-0560(日光東照宮社務所)
- 住所:日光市山内2301
祈祷殿では神前結婚式も挙式できる!
運が良ければ祈祷殿での挙式の様子を見学できるかもしれません。
神前結婚式が見学できるというのも祈祷殿ひいては日光東照宮の大きな見所の1つです。
神前結婚式の概要
- 収容人数 両家合わせておおむね30名まで
- 挙式時間 約30分〜40分
- 音楽・演出 雅楽(生演奏)、記念品授与
結婚式についても上記、日光東照宮へご確認のほどを。オホ
結婚式が執り行われている最中は立ち入りできない箇所が発生したりすることもありまする。
見学する際は2人の門出を祝って、騒がないように静かに見守るように見学しましょう!
祈祷殿の忘れてはならない見どころ
眠り猫
祈祷殿の右脇には奥宮へ通じる坂下門があり、そこに眠り猫の彫刻がありまする。
祈祷殿へ行くためには所定の拝観料金が必要!
残念無念ながら、この祈祷殿は陽明門の内側にあることから、日光東照宮においての所定の拝観料金が必要になりまする。
現在は大人1人1300円(眠猫・奥社含む)です。うきゃ
祈祷殿の場所(地図)
陽明門をくぐって右側に見える建物です。神楽殿と似ているので要注意!見分け方としては祈祷殿の方には「祈祷殿」書かれた表札が立てられてい‥‥‥申す。グゴっ
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